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未知のオブスキュラ

三十路男の写真日記です。街の風景を撮るのが好きです。

『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』は100年以上前のビフォーアフター街撮り写真

街撮り比較写真

僕も街の風景を撮るのが好きなので、新築や再開発のビフォーアフター写真を記事にすることがよくあります。こういう写真です。

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この手の定点観測写真といえば、『超高層マンション・超高層ビル』さんです。その情熱・データ力・機動力、どれをとっても凄まじいです。

いつ見ても、都市や建築の生命力を感じます。

こういうのって、何年にも渡って継続・蓄積していくことが大事なので、想像以上に大変です。そういう意味でも、『超高層マンション・超高層ビル』さんは老舗ですし、本当に尊敬します……。1年後、5年後、10年後……と移り変わっていく様子が見られるのは興味深いものです。

 

『国立国会図書館デジタルコレクション』

他にも色々な街撮り写真を見ているうちに、『国立国会図書館デジタルコレクション』にたどり着きました。

国立国会図書館デジタルコレクション

 

明治・大正・昭和初期に撮影された写真の一部は、著作権保護期間を経過しており、自由に使用ができるようになったものがあります。国会図書館では書籍だけでなく、そういった写真をインターネットで無料公開しており、jpegでもPDFでも保存できます。なんという素晴らしい税金の使い方!明治・大正・昭和の写真だけまとめたサイトもできています。

写真の中の明治・大正 - 国立国会図書館所蔵写真帳から -

『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』

中でも「これは!」と感じたのが『東海道広重画五拾三次現状写真対照』です。

国立国会図書館デジタルコレクション - 東海道 : 広重画五拾三次現状写真対照

大正7年に出版された本で、奥付を見ると当時の価格で5円。『日本の古本屋さん』で検索したら5,000円から10,000円するので、なんと2,000倍のお値段になっていますね(笑)

なんと!あの歌川広重『東海道五十三次』と大正初期の街の様子を見開きで比較している本なんです。『東海道五十三次』は最近永谷園のお茶漬けのおまけカードが復活したことでも話題になりました。言わずと知れた浮世絵の大作です。

東海道五十三次 (浮世絵) - Wikipedia

 

『東海道広重画五拾三次現状写真対照』は国会図書館デジタルコレクションではモノクロですが、原本は浮世絵部分がカラー刷りの様です。

中身はこういった感じです。浮世絵や写真のスキャン状態を良くするため各ページを濃・淡2回スキャンしています。

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*1

まさにビフォーアフター写真です!恐れ入りました。

 

大正7年は1918年。保永堂から出版された『東海道五十三次』は天保4年(1833年)の作ですから、85年前の様子と比べているわけです。

今年は2017年ですから、1918年は99年前。感覚的には、我々が祖父や曾祖父の生きていた大正・昭和初期を振り返る様なものでしょうか。『犬神家の一族』などに出てくる古い言い回しで『天保の昔から……』というのは、そういうことなんですね。

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*2

 

せっかくなので、写真部分を「ディープネットワークを用いた白黒写真の自動色付け」を使って、カラー化してみます。

 

Automatic Image Colorization・白黒画像の自動色付け 

浮世絵も、株式会社マーユさんのカラーのフリー素材を使用しました。

浮世絵著作権フリー作品「東海道五十三次」

 

『東海道五十三次「原」』比較

 歌川広重

『東海道五十三次「原」』

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『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』

Automatic Image Colorizationによる色付け

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*3

おおおおおお富士山が!!現代では電線や建物が出来ていて、決して撮ることのできない写真です。

 

『東海道五十三次「御油」』比較

次は御油。自然風景だけでなく、建物も木造民家が残っていて、味わい深いです。

 歌川広重

『東海道五十三次「御油」』

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『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』

Automatic Image Colorizationによる色付け

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*4 

格子戸の民家が美しいですね。道もまだ舗装されていない様に見えます。写真の構図も浮世絵に近く、対比が面白いです。

 

 『東海道五十三次「豊橋(吉田)」』比較

続いて豊橋(吉田)。こちらは近代化の様子がわかります。大正時代は、明治時代からの国富政策の成果で建築や土木技術が発展した時代でもあります。

 歌川広重

『東海道五十三次「豊橋(吉田)」』

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『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』

Automatic Image Colorizationによる色付け

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 *5 

同じ場所の同じ川を描いていながら、橋が大きく変わっています。一方で空ががらんどうなのは、現代と大きく異なるところですね。

 

 『東海道五十三次「四日市」』比較

最後は四日市。

 歌川広重

『東海道五十三次「四日市」』

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『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』

Automatic Image Colorizationによる色付け

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*6   

浮世絵は誇張・デフォルメで演出する部分もあるので、写真で同じ絵を作るのは難しい場合もあります。それでも、橋と木々の対比で同じ場所であることがわかります。

 

おわりに

いかがでしょう、興味の湧いた方がいらっしゃったら嬉しいです。『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』、無料でPDFがダウンロードできるのは本当にありがたいですね。Buzz Newsさんでは、浮世絵・『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』・Googleストリートビューの比較記事を掲載されていて、こちらも興味深かったです。

大正時代は、木造家屋や舗装されていない道路、がら空きの空が江戸時代と同じ様で、普及した近代的な橋梁や建物が共存した時代でもあります。農村では江戸時代と同じ様な木造家屋や水車、港湾部では帆掛船を使い、伝統的な船上住宅を使っていた人々もいたそうです。一方で、銀座にはモボ・モガが歩いていました。約100年前の日本、カラー化するとリアリティが増して、親近感が湧いてきます。

 

国会図書館デジタルコレクションは、他にも面白い本や写真がたくさんあるので、また紹介したいと思います。ではでは!

<関連記事>

*1:『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』(大正7年、編者:秋好善太郎、出版:東光園)。国立国会図書館デジタルコレクション版10コマ目『日本橋』より図版・文章部分を引用。引用元URL: http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/966629/10

*2:『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』(大正7年、編者:秋好善太郎、出版:東光園)。国立国会図書館デジタルコレクション版37コマ目『原』より図版・文章部分を引用。引用元URL: http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/966629/10

*3:『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』(大正7年、編者:秋好善太郎、出版:東光園)。国立国会図書館デジタルコレクション版37コマ目『原』より図版部分を引用。引用元URL: http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/966629/10

*4:『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』(大正7年、編者:秋好善太郎、出版:東光園)。国立国会図書館デジタルコレクション版81コマ目『御油』より図版部分を引用。引用元URL: http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/966629/10

*5:『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』(大正7年、編者:秋好善太郎、出版:東光園)。国立国会図書館デジタルコレクション版79コマ目『豊橋(吉田)』より図版部分を引用。引用元URL: http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/966629/10

*6:『東海道:広重画五拾三次現状写真対照』(大正7年、編者:秋好善太郎、出版:東光園)。国立国会図書館デジタルコレクション版97コマ目『四日市』より図版部分を引用。引用元URL: http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/966629/10